
ハピネス京都 四条烏丸では、来年から京都府美山町で「ハピネス米」づくりプロジェクトがスタートします。
就労継続支援B型事業所としての特徴を活かしながら、利用される方一人ひとりが、自然の中でのびのびと活動できる新しい取り組みです。
今回のブログでは、「ハピネス米」プロジェクトの魅力や、どんな1年になるのかを、イメージしやすいようにご紹介していきます。「自分たちで育てたお米を、自分たちで食べる」という体験の楽しさと達成感を、少しでもお届けできればうれしいです。
美山町ってどんなところ?
お米作りの舞台となる京都府南丹市美山町は、昔ながらの田園風景と豊かな山々に囲まれた地域として知られています。
四季折々の自然が身近に感じられ、田んぼの景色や澄んだ空気が魅力のエリアです。
そんな自然豊かな美山の田んぼをお借りして、ハピネスのみんなで「ハピネス米」を育てていきます。普段は京都市の中心部・四条烏丸エリアで過ごしている方にとっても、少し足を伸ばすだけで、まるで「小さな旅行」のような時間になりそうです。
美山町は、京都市内から車で約1時間半ほどの距離にあります。周辺には日本の原風景とも言える「かやぶきの里」があり、重要伝統的建造物群保存地区にも選定されています。清流・由良川が流れ、豊かな自然に恵まれたこの地域は、お米作りに最適な環境です。
春には新緑が美しく、夏には深い緑と爽やかな風、秋には黄金色の稲穂と紅葉、冬には雪景色と、四季それぞれに異なる表情を見せてくれます。このような環境の中で、一年を通してお米の成長を見守ることができるのは、貴重な体験になるはずです。
まるで遠足!田植えを楽しもう
プロジェクトの前半は、田植えからスタートします。春から初夏にかけての田んぼは、水面がキラキラと光り、足を踏み入れるとひんやりとした感触が広がります。
みんなで田んぼに入り、苗を1本1本ていねいに植えていきます。最初は「泥に入るのがこわい」「うまく植えられるかな」と不安に感じるかもしれませんが、スタッフがそばでサポートしながら進めていくので、安心してチャレンジできます。
田植えの日は、遠足気分での参加をイメージしています。移動の時間も含めて、車窓からの景色を楽しんだり、みんなでおしゃべりしたりしながら、「今日はどんな1日になるかな?」とワクワクできる一日にしたいと考えています。
田植えは通常5月中旬から6月上旬に行われます。この時期の美山町は、気温も20度前後と過ごしやすく、田植えには最適な季節です。田んぼの水は最初は冷たく感じるかもしれませんが、作業を始めると体も温まってきます。
田植えの作業は、昔ながらの手植えの方法で行います。一列に並んで、決められた間隔で苗を植えていく作業は、リズミカルで、慣れてくると心地よいリズムが生まれます。「次はもっと上手に植えられるかな」と、自然と前向きな気持ちになれる作業です。
作業の合間には、休憩時間もしっかり設けます。田んぼの畦に座って、持参したお弁当を食べたり、冷たい飲み物で一息ついたり。周りの山々を眺めながら、鳥のさえずりを聞いたり、風が田んぼを渡る音に耳を傾けたり。そんな何気ない時間も、都会では味わえない貴重な体験です。
育てる楽しさを感じる毎日
田植えが終わると、いよいよ「育てる」時間が始まります。定期的に田んぼの様子を見に行き、苗の成長を観察したり、雑草を抜いたりといった簡単なお世話を通して、お米づくりの工程にじっくり関わっていきます。
お米の成長は、少しずつ、でも着実に進んでいきます。「先月より背が伸びている」「葉っぱの色が濃くなってきた」など、小さな変化に気づくことができると、「自分たちが育てているんだ」という実感が生まれます。
就労継続支援B型事業所として、ハピネスでは一人ひとりのペースを大切にしながら、作業量や関わり方も無理のない範囲で調整していきます。
体力面が心配な方や、初めての方でも参加しやすいよう、休憩をこまめに取りながら、安心して取り組める環境づくりを心がけます。
田んぼの見回りは、月に1〜2回程度を予定しています。毎回全員が参加する必要はなく、その日の体調や気分に合わせて、参加したい方が参加するスタイルです。「今日は田んぼを見に行きたい」と思った方が、気軽に手を挙げられる雰囲気を大切にしています。
夏の田んぼは、稲の緑が濃くなり、生命力あふれる景色が広がります。この時期には、稲の根元に水をしっかり張ることや、害虫がいないかをチェックすることが大切な作業になります。また、雑草取りも重要な仕事です。雑草を放っておくと、稲の成長に必要な栄養や日光が不足してしまうため、こまめに除草することが美味しいお米を育てる秘訣です。
稲の成長を観察することは、生き物を育てる責任感や、自然のサイクルを理解することにもつながります。「雨が降った後は稲が元気になる」「暑い日が続くと水が減る」といった自然の変化に気づくことで、環境への意識も高まります。
秋のクライマックス!稲刈り体験
秋になると、田んぼは黄金色の景色に変わります。この季節の一大イベントが、稲刈り体験です。
稲刈りでは、実際に稲を刈り取って束ね、お米になるまでの流れを体感していきます。作業そのものは体力を使いますが、「ここまで育ててきた」という達成感や、目の前に広がる稲穂の美しさが、がんばる力を後押ししてくれます。
稲刈りの日も、田植えのときと同じように、遠足のような1日にしたいと考えています。作業の合間には、周りの山や空を眺めたり、風の気持ちよさを感じたりと、自然の中でリフレッシュできる時間もたっぷり用意する予定です。
稲刈りは通常9月下旬から10月上旬に行われます。この時期の美山町は、朝晩は涼しく、日中は過ごしやすい気候です。秋の澄んだ空気の中で、黄金色に輝く稲穂を刈り取る作業は、お米作りのクライマックスと言えます。
稲刈りには、鎌を使った手刈りの方法を体験します。最初はぎこちなくても、徐々にコツをつかんでいくことで、作業のリズムが生まれてきます。刈り取った稲は、束ねて干す作業も行います。これを「はざかけ」と言い、天日干しすることで、お米の旨味が増すと言われています。
稲刈りの日には、昼食に地元の食材を使ったお弁当を用意する予定です。美山町の新鮮な野菜や、地元で作られた食材を味わいながら、「この土地で育ったものを食べる」という地産地消の良さも実感できます。
作業が終わった後には、全員で記念撮影も行います。泥だらけになった長靴や、汗をかいた顔も、この日だけの特別な思い出です。「大変だったけど、楽しかった」「来年もやりたい」という声が聞こえてくることを、今から楽しみにしています。
収穫したお米でおにぎりパーティー
そして、みんなが楽しみにしているのが、収穫した「ハピネス米」を味わう日です。精米したお米を炊いて、みんなでおにぎりを作り、「自分たちで作ったお米」の味をじっくりと楽しみます。
「いつも食べているお米と何が違うかな?」「形はちょっといびつだけど、これが自分のおにぎりだな」など、味だけでなく、見た目や香り、かみしめたときの気持ちも、きっと特別なものになるはずです。この体験を通して、食べ物の大切さや、農家さんの仕事への理解も、自然と深まっていきます。
おにぎりパーティーの場では、お米づくりの1年を振り返りながら、感想を共有したり、「来年はこんなこともやってみたいね」といった前向きな話ができる時間にしていきたいと考えています。
おにぎりパーティーでは、シンプルに塩むすびだけでなく、様々な具材を用意する予定です。梅干し、昆布、鮭、ツナマヨなど、好きな具材を選んで、自分だけのおにぎりを作ります。おにぎりを握る作業も、意外と奥が深く、「ふんわり握る」コツをつかむまでは、練習が必要です。
炊きたての「ハピネス米」の香りは、きっと格別です。自分たちが春に植えた苗が、こうして美味しいお米になったという実感は、言葉では表せない喜びをもたらしてくれるでしょう。「お米一粒一粒に、農家さんの苦労が詰まっている」という言葉の意味を、身をもって理解できる瞬間です。
また、おにぎりパーティーには、地域の方や、田んぼを貸してくださった農家さんをお招きすることも検討しています。一緒に食事を楽しみながら、地域とのつながりを深め、来年以降のプロジェクトについても相談できる機会にしたいと考えています。
就労支援としての新しい一歩
ハピネス京都 四条烏丸は、就労継続支援B型事業所として、軽作業などを中心に一人ひとりに合った働き方の機会を提供しています。
そこに今回のお米作りプロジェクトが加わることで、「屋外で体を動かしたい」「自然の中で作業してみたい」というニーズにも応えられる新しい選択肢が生まれます。
- 作業を通して、体力・集中力を少しずつ育てていきたい方
- 自然の中でリフレッシュしながら取り組みたい方
- 仲間と一緒に達成感を味わう経験をしてみたい方
こうした思いを持つ方にとって、「ハピネス米」プロジェクトは、就労支援の一環でありながら、楽しみと学びの両方が詰まったプログラムになるはずです。
就労継続支援B型事業所は、一般企業での就労が困難な方に対して、働く場を提供し、知識や能力の向上を支援する福祉サービスです。ハピネスでは、それぞれの利用者さんの特性や希望に合わせて、様々な作業を用意しています。
「ハピネス米」プロジェクトは、従来の屋内作業とは異なる、屋外での農作業という新しい選択肢を提供します。土に触れ、自然の中で体を動かすことは、心身のリフレッシュにつながります。また、チームで協力しながら一つの目標に向かって取り組むことで、コミュニケーション能力や協調性も自然と育まれます。
さらに、お米作りには「計画性」「継続性」「責任感」といった、就労に必要なスキルを養う要素が含まれています。田植えから収穫まで、一年を通して計画的に作業を進めること、定期的に田んぼの管理をすること、自分たちが植えた稲に責任を持って最後まで育てることなど、これらの経験は、将来的な就労にも役立つ力になります。
みんなでワクワクを分かち合いたい
「自分たちで作ったお米って、どんな味がするんだろう?」この素朴な疑問とワクワクが、このプロジェクトの一番の原動力です。
田植えの日のドキドキ、育てている途中の気づき、稲刈りの達成感、炊きたてのお米の香り、おにぎりをかじった瞬間の驚きや笑顔。一年を通して積み重ねていくその一つひとつが、ハピネスで過ごす時間を、より豊かで思い出深いものにしてくれると感じています。
ハピネス京都 四条烏丸では、これからも、一人ひとりに合ったペースやスタイルを大切にしながら、仕事の経験だけでなく、「やってみたい」「挑戦してみたい」という気持ちを応援する場づくりを続けていきます。
「ハピネス米」プロジェクトに興味を持ってくださった方は、ぜひ見学や相談の際にスタッフまでお声がけください。
一緒に、美山の田んぼで、お米作りのワクワクを体験してみませんか。
お問い合わせ・見学について
「ハピネス米」プロジェクトについて、もっと詳しく知りたい方、実際に参加してみたい方は、お気軽にハピネス京都 四条烏丸までお問い合わせください。見学は随時受け付けており、施設の雰囲気や、日頃の活動の様子をご覧いただけます。プロジェクトの詳細についても、スタッフが丁寧にご説明いたします。
また、お米作りに参加するかどうかは、実際に話を聞いてから決めていただいて構いません。「興味はあるけど、体力的に不安」「田んぼに行くのは初めてで心配」といった不安や疑問も、遠慮なくスタッフにお伝えください。一人ひとりの状況に合わせて、最適な参加方法を一緒に考えていきます。
「ハピネス米」プロジェクトを通じて、自然の中での新しい体験、仲間との絆、そして「自分で作った」という誇りを、一緒に育んでいきましょう。皆様のご参加を、心よりお待ちしています。